この案件は、難付着性のサイディング外壁塗装です。
難付着性サイディング〜最近よく見聞きする「汚れの付きにくい」サイディングのことをいいます。光触媒とかセルフクリーニング効果といわれる表面仕上げで、外壁が汚れにくいとされるものです。
汚れの付きにくい外壁材や塗装といっても、メンテナンスフリーにはなりません。また永遠に効果が続くわけでもありません。10年以上過ぎれば、再塗装の時期は必ずやってきます。
汚れが付き難いということは、塗装リフォームの際、塗料が密着しにくい外壁ということにもなります。それで塗装会社の立場からは難付着性といっています。
これは光触媒仕上げの外壁例です。メンテナンスが数十年要らないといったうたい文句からの施工だったと思われますが、やはり写真からも分かるとおり劣化はします。また、光の当らない箇所には光触媒の効果は期待出来ません。弊社ではこまめなメンテナンスに勝るものは無いと考えております。
とくにサイディング外壁は、必ずコーキングが使われます。このコーキングが劣化すれば、サイディングの切断面、裏面から内部に浸水します。いくら表面だけ高機能の仕上げ材で保護しても、耐久性にはつながりません。
コーキングは通常5、6年で劣化が始まり、8〜10年で寿命です。日の当たる面は紫外線の影響で、痩せたりひび割れが起きます。加えて、木造建築の揺れ・振動、また寒暖の差による伸縮に追随しきれないためです。
この事例は難付着性外壁のため、塗装が可能かどうかのテストが必要でした。塗料メーカー様のご協力をいただき、何種類かのプライマーを塗って、3か月以上の暴露試験を行いました。そのため工期にも影響した、かなり特殊な事例です。
塗装リフォームの観点からみると、光触媒等の難付着性サイディングは、費用対効果の面で果たしてどうなのでしょうか。
数千年以上もの耐久性があるといわれる漆塗りでも、外壁に使えば50年が限界ですから、日光東照宮は定期的にメンテナンスをしています。
文化財でもない一般住宅に使われる建材で、メンテナンスフリーの外壁などあり得ないことです。家を長持ちさせるためには定期的なメンテナンス、これに尽きます。