家を甦らせる塗装を信条とする、田口塗装の真価が発揮された塗装事例です。この案件は現場での経験、下地を見極める確かな目が必要な仕事です。
机の上だけで勉強した人では出来ないでしょう。このような建材を生かす塗装技術は、日本の伝統工芸と考えています。
吟味した木材と銅板を使用した意匠性の高い、文化財といってよいほど見事な建築です。新築からかなりの年数が経っているにも関わらず、上質の木材にはあまり傷みが目立ちません。新築当時の木地木目を生かすため、木部はアク洗いかキシラデコールによる着色のみにとどめ、銅板部分は塗らないという選択をいたしました。
上から塗るだけが塗装ではありません。下地を補修・調整し、状態に応じて適切な塗料を選択する。家を甦らせ、新築時の風合いを再現するためには、あえて塗装しないこともあります。塗装を伝統工芸と考える田口塗装の判断です。
●玄関前天井状況写真(木製)
天井部は本来ならばアク洗い工事を行いたいのですが、外部に面します庇部との見切りの兼合いに無理があると判断致しました。従って、玄関前の天井はそのままか、もしくはキシラデコールにて着色する事をお奨め致します。柱等もアク洗いは可能です。
玄関の扉は、ムラ無くアク洗いが可能です。但し、築年数から考えて完全漂白までは至らないであろうと予測いたします。
納戸扉状況写真(木製)こちらも玄関扉と同等な事が言えると判断致しました。
玄関扉(木製)灰汁洗い施工中。アクロンA・B液使用
物置扉(木製)灰汁洗い施工中。アクロンA・B液使用
玄関扉(木製)下地調整施工中。サンドペーパー・#240使用
玄関扉(木製)中塗り施工中。キシラデコール・カラレス使用
玄関扉(木製)上塗り施工中。キシラデコール・カラレス使用
●ボーダー状況写真(木製+銅板)
経年劣化による色あせ・変色等が見られました。新築時の風合いを活かす為にも、弊社ではキシラデコールを強く推奨致します。但し、水切り部の銅板部分は無塗装が妥当と判断致しました.
ボーダー(木製)下地調整施工中。サンドペーパー・#240使用
ボーダー(木製)中塗り施工中。キシラデコール・#103チーク使用
ボーダー(木製)上塗り施工中。キシラデコール・#103チーク使用
●ボーダー・水切り・霧除け状況写真(木製+銅板)
こちらも木製部と銅板との複合部位です。従って、銅板部は無塗装となります
横樋状況写真(銅板)横樋も無塗装とさせて頂きます
竪樋状況写真(銅板)竪樋も無塗装とさせて頂きます
霧除け状況写真(銅板)霧除けも無塗装とさせて頂きます
水切り状況写真(銅板)水切りも無塗装とさせて頂きます
●破風状況写真(木製)
破風自体は、さほど傷んでいる箇所は有りませんでした。しかし、庇その他の木製部の傷み具合から考え、こちらも着色作業がベストと弊社では判断致しました。
破風(木製)下地調整施工中。サンドペーパー・#240使用
破風(木製)中塗り施工中。キシラデコール・#103チーク使用
破風(木製)上塗り施工中。キシラデコール・#103チーク使用
●外周庇状況写真(木製+銅板)
黄色い囲み部は全て銅板です。従って、無塗装とさせて頂きます。赤い囲み部は木製ですのでアク洗い、もしくはキシラデコールを用いた着色が理想といえるでしょう。しかし、築年数から考えても完全漂白は無理と弊社では判断致します。今回はキシラデコールを用いた着色をご提案させて頂きます。
軒天(木製)下地調整施工中。サンドペーパー・#240使用
軒天(木製)中塗り施工中。キシラデコール・#103チーク使用
軒天(木製)上塗り施工中。キシラデコール・#103チーク使用